寝台特急北斗星 上野→札幌 2015年5月


寝台券購入

 
 あと数ヶ月で北斗星が廃止になるというニュースが流れた。半年前に乗車したばかりだけれど、最後にもう一度という気持ちになってくる。
 前回はゆったりと過ごしたかったので、空いている上り列車にした。ただし、東京行きよりも北海道で朝を迎える下り列車のほうが魅力的。どちらも満席だろうから下りの札幌行きを狙う。

 寝台券の確保は困難が予想されるが裏技は無いので、発売開始日の10時にみどりの窓口に行くことが鉄則。
 以前、10時少し前に行ったら、すでに受付が事前に行われていて5番目だったので、当然敗退したことがある。

 だから一番電車が動く前の早朝に、クルマで名古屋市周辺の某駅へ。ちょうど窓口が開いて、申込用紙に「1」と記入してもらう。10時過ぎに来てほしいと言われたので出かけると「取れませんでした」。発売開始直後のいわゆる「10時打ち」でもダメ。第一希望を数の限られている個室にしたことが良くなかったかも。

 数日後の早朝に別の駅へ行ったら、先客がいて2番目。10時に結果を電話すると言われる。多分ダメだろうと思っていたら「申し訳ありませんが…」。

 朝一番だけでなく、キャンセルを期待して何度もチャレンジすることも大切なので、買い物のついでに昼頃に名古屋駅のみどりの窓口で5月分の下り列車を調べてもらうが、AB寝台、個室、開放すべて一杯。予想してはいたけれど、少し落ち込む。

 1時間後、たまたま立ち寄った某駅でも列に並ぶ。収穫は期待できないから待つことが苦痛に感じる。10分くらいしてようやく自分の番が回ってくる。
「B寝台が一つあります」。待っている間にキャンセルがあったかもしれない。種類も聞かずに「それでいいです」。せっかくゲットできたのだから、個室を希望とか高望みをしている場合ではない。受け取った寝台券には上段の文字。いつもなら下段にしているが、上段なら荷物置き場が近いという利点はある。


発車、そして夜


 北斗星の出発する40分前に上野駅13番線へ。  このホームからは津軽とかいろいろな夜行列車で旅立った思い出がある。

 ちょうどドアが開く。
 すぐに乗り込む人は少ない。

 国鉄時代の行先表示が旅情を誘う。

 車内も国鉄時代のまま。
 札幌までの一昼夜を過ごす区画。
 これまでに何度も利用した開放式B寝台だけれど、今回が最後になるのだろうか。

 ただ、上段の経験は少ない。

 荷物を置いて、撮影に出かける。

 ロビーカーにはシャワー券を求める人たちの列ができている。

 上段ベットに腹ばいになって景色を眺める。
 下段の主が早々とシーツを敷いて、「座るな」というアピールをしているから。以前は夕食後に寝台モードになったものだけれど、最近はこういうルールなのか。

 通路の補助椅子も時には使う。


 出発前に買い込んだもの。
 これだけでは足らなくなって、車内販売でもいろいろと買い求める。

 宇都宮に停車。窓を隔てた向こう側には仕事帰りの人達がいる。
 こちらは非日常的な空間。

 列車から眺める夕暮れは気分が良い。  その後に寝台車で眠ることができると思えば、なおさら気持ちが昂る。

 車窓が真っ暗になってからロビーカーで過ごす。
 「満席の場合は利用できないかも」と案内があったパブタイムは6割くらいの入り。
 今晩最後の停車駅である盛岡の出発を見届けてからベットへ。

朝、そして到着

 朝4時過ぎに目覚めて、ロビーカーへ。
 時刻表では通過の記号がある青森駅に停車中。
 急ぐ旅ではないが、盛岡から時間がかかりすぎではないかと思う。

 陸奥湾の日の出。
 この頃になるとロビーカーはほぼ満席になる。

 車内放送で青函トンネルへ入る時刻は案内されていたが、入口を撮影できた。
 北海道新幹線の開業を控え、沿線には作業員が目立つ。

 「木古内駅だ」の声が聞こえてくる。
 一方で「花がキレイ」という女性の声もある。興味の対象は人それぞれ。

 函館駅での機関車交換のイベントに集まる。
 一方、ロビーカーでは朝食の行列ができている。
 
 ここから非電化区間になる。

 大沼。
 内浦湾。

 モーニングタイムのラストオーダーは10時。そろそろ食堂車へ行こう。

 オープン直後とは違い空いている。
 特に美味しいというわけではない。

 ただ、北海道らしい雄大な風景を眺めながらの食事は格別。
 中国に買われていなければ良いが。

 速くはないが着実にゴールに近づいている。
 だんだん都会になる。

 到着。
 長旅を終えたとか、これが最後の北斗星乗車とか、何の感情も生まれなかった。