寝台券購入
あと数ヶ月で北斗星が廃止になるというニュースが流れた。半年前に乗車したばかりだけれど、最後にもう一度という気持ちになってくる。
前回はゆったりと過ごしたかったので、空いている上り列車にした。ただし、東京行きよりも北海道で朝を迎える下り列車のほうが魅力的。どちらも満席だろうから下りの札幌行きを狙う。
寝台券の確保は困難が予想されるが裏技は無いので、発売開始日の10時にみどりの窓口に行くことが鉄則。
以前、10時少し前に行ったら、すでに受付が事前に行われていて5番目だったので、当然敗退したことがある。
だから一番電車が動く前の早朝に、クルマで名古屋市周辺の某駅へ。ちょうど窓口が開いて、申込用紙に「1」と記入してもらう。10時過ぎに来てほしいと言われたので出かけると「取れませんでした」。発売開始直後のいわゆる「10時打ち」でもダメ。第一希望を数の限られている個室にしたことが良くなかったかも。
数日後の早朝に別の駅へ行ったら、先客がいて2番目。10時に結果を電話すると言われる。多分ダメだろうと思っていたら「申し訳ありませんが…」。
朝一番だけでなく、キャンセルを期待して何度もチャレンジすることも大切なので、買い物のついでに昼頃に名古屋駅のみどりの窓口で5月分の下り列車を調べてもらうが、AB寝台、個室、開放すべて一杯。予想してはいたけれど、少し落ち込む。
1時間後、たまたま立ち寄った某駅でも列に並ぶ。収穫は期待できないから待つことが苦痛に感じる。10分くらいしてようやく自分の番が回ってくる。
「B寝台が一つあります」。待っている間にキャンセルがあったかもしれない。種類も聞かずに「それでいいです」。せっかくゲットできたのだから、個室を希望とか高望みをしている場合ではない。受け取った寝台券には上段の文字。いつもなら下段にしているが、上段なら荷物置き場が近いという利点はある。
発車、そして夜
北斗星の出発する40分前に上野駅13番線へ。 このホームからは津軽とかいろいろな夜行列車で旅立った思い出がある。
ちょうどドアが開く。
すぐに乗り込む人は少ない。
国鉄時代の行先表示が旅情を誘う。
車内も国鉄時代のまま。
札幌までの一昼夜を過ごす区画。
これまでに何度も利用した開放式B寝台だけれど、今回が最後になるのだろうか。
ただ、上段の経験は少ない。
荷物を置いて、撮影に出かける。
ロビーカーにはシャワー券を求める人たちの列ができている。
上段ベットに腹ばいになって景色を眺める。
下段の主が早々とシーツを敷いて、「座るな」というアピールをしているから。以前は夕食後に寝台モードになったものだけれど、最近はこういうルールなのか。
通路の補助椅子も時には使う。
出発前に買い込んだもの。
これだけでは足らなくなって、車内販売でもいろいろと買い求める。
宇都宮に停車。窓を隔てた向こう側には仕事帰りの人達がいる。
こちらは非日常的な空間。
列車から眺める夕暮れは気分が良い。 その後に寝台車で眠ることができると思えば、なおさら気持ちが昂る。
車窓が真っ暗になってからロビーカーで過ごす。
「満席の場合は利用できないかも」と案内があったパブタイムは6割くらいの入り。
今晩最後の停車駅である盛岡の出発を見届けてからベットへ。
朝、そして到着
朝4時過ぎに目覚めて、ロビーカーへ。時刻表では通過の記号がある青森駅に停車中。
急ぐ旅ではないが、盛岡から時間がかかりすぎではないかと思う。
陸奥湾の日の出。
この頃になるとロビーカーはほぼ満席になる。
車内放送で青函トンネルへ入る時刻は案内されていたが、入口を撮影できた。
北海道新幹線の開業を控え、沿線には作業員が目立つ。
「木古内駅だ」の声が聞こえてくる。
一方で「花がキレイ」という女性の声もある。興味の対象は人それぞれ。
函館駅での機関車交換のイベントに集まる。
一方、ロビーカーでは朝食の行列ができている。
ここから非電化区間になる。
大沼。
内浦湾。
モーニングタイムのラストオーダーは10時。そろそろ食堂車へ行こう。
オープン直後とは違い空いている。
特に美味しいというわけではない。
ただ、北海道らしい雄大な風景を眺めながらの食事は格別。
中国に買われていなければ良いが。
速くはないが着実にゴールに近づいている。
だんだん都会になる。
到着。
長旅を終えたとか、これが最後の北斗星乗車とか、何の感情も生まれなかった。