寝台列車と氷河急行



寝台列車シティーナイトライン

 ベルリンの市内観光を終えて、寝台列車シティナイトラインでスイスのチューリヒへ向かう。フリードリヒ・シュトラーセ駅からSバーンで荷物を預けているホテルに近いツオー駅へ戻る時に、違う路線や反対方向のプラットホームへ行ってしまうなど迷いながら、ようやく始発駅である東駅に到着。 日本で予約していたのはエコノミーのシングル。シャワーもトイレも無いが快適な空間。この列車には日本ではほぼ全滅した食堂車が連結されている。寝台車の係員が来て、改札とパスポートを預けてから食事に出かけるつもりでいたが、やって来たのは出発の1時間後。食堂車もバー車も混んでいるので、翌日に予約してある氷河急行の食堂車に期待して、今夜は諦めてベットへ。

 日本の夜行列車と違って揺れがほとんど無いので、深夜にフランクフルト南駅の駅名標を見た以外は、よく眠ることができる。前夜に頼んでおいた7:30に同じ女性係員が朝食を持って来てくれる。チップを渡した効果かもしれないが、「コーヒーのおかわりは?」とかサービスが良い。国境駅のバーセルを発車すればいよいよスイスだけれど、期待外れの平凡な車窓のままチューリヒ中央駅に到着。


スイスのIC

 氷河急行に乗車するためにインター・シティーでクールへ向かう。チューリヒ湖などのいくつかの湖に沿って列車は快走するが、対岸には険しい山々が連なっている。
 幹線とは思えないような美しい車窓が展開して、スイスの鉄道の旅は素晴らしい。

 クールでは列車の出発まで1時間くらいあるので、市庁舎などを見るために街を歩く。小さな街だけれど花を押し売りする男がいる。他の国では珍しいことではないが、スイスの小都市でもあり得ることは少し残念。これ以外はのんびりした静かな街。


氷河急行

 この旅のメインと言える氷河急行に乗車し、終着のツェルマットへ向かう。この列車はサンモリッツが始発。あらかじめ日本で食堂車のランチを予約してあるが、開始時刻は出発とほぼ同じ12:15となっている。 指定された1等パノラマ車の座席に荷物を置いて早速出かける。食堂車も天井まで窓があるパノラマタイプだが、すでに白人で満席になっていて、もう食事を開始している。係員に予約券を見せても首をかしげるし、食事ができるのか不安になってくる。実はクラシックな食堂車がもう1両連結されていて、私を探していたとのこと。自分の座席で待っていれば良かったのだ。
 メニューはあらかじめ決まっているようで、サラダと肉料理。味はまぁ普通。隣のテーブルのインド人夫婦の旦那さんが話しかけてくる。付け合わせのハッシュドポテトのおかわりは?と聞いてくるので頼んだら、1人前以上の量をどっさり盛られる。

 1等車へ戻ると、観光シーズンには少し遅い9月下旬のせいか、あまり混んでいない。
 車窓は渓谷や高原など変化に富んでいて、まさに山岳風景のフルコース。 特にオーバーアルプ湖が素晴らしい。

 食堂車で満腹になったが、車内販売が来たのでコーラを買う。でも冷えていない。
 正直言えば、後半の車窓のほうが少し見劣りする感じ。もし、再び氷河急行に乗車する機会があれば、反対方向の列車に乗ることにしよう。

 5時間以上の長旅だったが終点ツェルマットには定刻の到着。食堂車のインド人と少し立ち話をする。旦那さんがとてもフレンドリー。太平洋戦争で日本軍がイギリス軍と戦った結果として、インド独立に至ったので親日の国だからなのか。そういう話をするための英語力が自分にないことが残念だ。